こうした激しいやりとりをはじめ、「二ノ国」でのスタジオジブリとの技術交流で身につけたことは、「話し合いを密にして、同志になるべし」という教訓だった。「クリエティブに関しては(どちらも)命がけ。ゆずれないものがある」と相手を認めた上でアニメ・ゲーム両方で一貫したメディア展開をする必要性を感じたという。
また、心理学者の多湖輝(たご・あきら)氏のクイズ本「頭の体操」をゲーム化しようとしたところ、書籍の名前を使う権利を取得するまでに1年間かかることがわかった。そこで、思い切って新作を作ろうと決めて生まれたのが「レイトン教授」だった。「ゲーム界にはない才能」をプロジェクトの全体に生かしたことがヒットにつながった。
一方、玩具の展開では苦い経験もあった。イナズマイレブンは大ヒット作品に成長したが、サッカー少年が物語の中心となるため、人間をベースとした商品化の制約という課題が残った。この課題とチャレンジしたのがロボット玩具がテーマの「ダンボール戦機」だった。