敵の傘下で業績安定
NTT副社長の高部豊彦(68)と和才博美(68)がそろって、鈴木に電力系との合併を思いとどまるよう話をしていたのは、その後のNTTとIIJの関係を考えると興味深い。
パワードコムとの合併が白紙に戻り、通信基幹網を持つ子会社クロスウェイブコミュニケーション(CWC)の経営再建が急務となってきた03年春、鈴木はNTT社長の宮津純一郎に呼ばれた。
宮津は「困ってんだろ。IIJと研究所を一緒にしないか。社名はIIJのままでいい。出資比率は6対4でどうだ」と、べらんめえ調で鈴木に合併を持ちかけてきた。
「まだ、自力でがんばれる」と思っていた鈴木は申し出を断った。しかし、その半年後にはCWCが倒産し、NTTグループがIIJの第三者割当増資を引き受けて31%強の筆頭株主となった。次いで、CWCをNTTコミュニケーションズに100億円で営業譲渡。高部が主導した支援スキームだった。