しかし、「うちに通信のプロはいないから鈴木さんに任せたい」と言うほど鈴木を買っていた山本が、前年に死去。後に社長となる勝俣恒久副社長(75)が山本の後任となって交渉は続くが、合併は実現せず、03年には交渉が打ち切られた。
鈴木は交渉決裂の理由について「勝俣さんは(合併に)慎重だったようだ」と多くを語らないが、当初から「企業文化が違いすぎる」などと相性の悪さが指摘されていた。
鈴木は会見日の夜、NTT幹部と飲んだことについて、著書「日本インターネット書紀」に書いている。
《この提携話に最も神経をとがらせていたNTT幹部の高部さんや和才博美さんたちと飲み明かした。(中略)「なにより問題なのは、そもそも鈴木さんの激しい性格で、東電という巨大な官僚組織とうまくやれるはずがない。(中略)電力というのはNTTよりはるかに官僚的なのだから(中略)」と、高部さんの舌鋒(ぜっぽう)はいつも鋭い。
「もしうまくいって、軌道に乗るようなら、NTTも再々編をやらないと対応できないけれどね」》