工夫積み重ね
「そこで、考えたのが金型を3Dプリンターで成形できないかということでした。粉末状の金属を使って、レーザー焼結することを繰り返していくことで、とりあえず形にはなったのですが、金属の層を重ねて作っていくので、断面がぎざぎざになってしまい、仕上がりの精度が粗くなってしまいました」
そこから、考えたのが従来の削りだしの技術と、金属粉末をつかった3Dプリンターの工法を組み合わせることだったという。
「金属粉末を重ねてレーザー焼結したあとに、切削工程をすることで、表面の粗さをとることに成功しました。切削工程と、レーザー焼結を繰り返すことで、表面はなめらかに仕上がり、量産に耐えられる金型を作ることができました」
この新しい金型加工技術の開発により、金型製作に要する時間は従来の3分の2まで短縮できたという。また、3Dプリンターによる金型加工の利点は、時間短縮だけではない。
「金型は、流し込んだ樹脂が素早く冷却するように、中に水管という水を通す管を作る必要があります。従来の削りだし工法では、水管の穴をドリルで作っていたので、まっすぐな穴しか作れなかったのですが、3Dプリンターを導入してからは、より複雑で、冷却効果の高い水管を作ることができるようになりました」