では、3Dプリンターは具体的にどの工程で活躍しているのか。
「リードタイムの短縮に非常に役立っています。3Dプリンターを使ってワーキングモデルを作ることで、性能評価がいち早くできますし、量販店などに製品提案するデザインモデルも3Dプリンターを使って作っています」
ワーキングモデルとは、実際に動かすことのできるモデルのことで、例えば加湿器であれば、ミストの発生状況や風量などの性能をチェックできるほか、制御がきちんと働いているかもチェックできる。
「コンカレント開発チームの仕事はそれだけではありません。重要な仕事の一つに金型の製作があります。金型とは、工場で製品を大量生産する時に不可欠なもので、樹脂を流し込み、部品を成形するものです。樹脂が金型の中に隙間なく行き渡るように工夫する必要がありますし、樹脂を素早く冷却させるにはどのような構造にすべきかを考えます。また、金型自体の強度も重要になります」
金型は従来、鋼材から削りだして複数の工程を経て完成していた。しかし、完成までに時間がかかるほか、削りだして作るために材料となる鋼材のロスが多い、などの問題点があったという。