木下課長代理は主に東京都荒川区を担当。「中小企業のオーナーや30~40年の投資歴を持つ元気なおばあちゃんなどのシニア」が顧客だ。時間を見つけてはこまめに電話を入れ、保有株の値動きや推奨銘柄などの情報を伝えた。投資に興味がありそうだったら自宅に出向く。こうした提案営業を地道に取り組んできた結果が好業績に結びついたのだ。
だめなときは勧めず
地場証券への逆風が強まったのは、1999年の手数料自由化以降、格安の手数料を武器にするネット証券が次々と誕生し、個人投資家の多くがネットへ移ったからだ。そのため、廃業や対面営業部門の売却など撤退の動きが相次いだが、明和証券のように得意客との関係を強めることで危機を乗り切った地場証券もある。
その理由について、立花証券の平野憲一顧問は「われわれの強みは個別株のいろいろな情報を投資家に提供できること。『この株はどうか』と問われたとき、適切に答えられる態勢を整備しているから支持される」と言い切る。