苦境に陥っていた中小の地場証券が復活している。リーマン・ショック後の株式市場低迷期を乗り切り、アベノミクス相場で個人投資家が戻ってきたからだ。強みとする対面販売で顧客との信頼関係を築いてきたことが大きい。ただ、今の活況相場に浮かれているわけにはいかない。顧客の高齢化が進んでいるからで、新規顧客の開拓や収益源の多様化が喫緊の課題だ。
「アベノミクス効果で昔からのお客さまが戻ってきた。2013年3月期は6年ぶりに黒字化、今期も前期比2倍の営業増益を見込んでいる」
証券会社が軒を連ねる東京・日本橋兜町に本店を構える明和証券の4代目、小林正浩社長は活況相場に目を細める。株式売買手数料が収益の80%程度を占めるだけに、個人投資家の復活が好業績をもたらした。「市況が悪いときも連絡を取り、注文がなくても会いに行って関係を維持してきた」(小林社長)対面営業の面目躍如といえる。
同社資産コンサルティング部1部の木下功喜課長代理は「リーマン後の下げ相場のとき、株が塩漬け状態の『動いていない』お客さまと会ってきた。このお客さまが動いてくれた」という。