“同じ釜の飯”エンジニア結集
自転車で通学している中学生や高校生の娘がクラブ活動や塾で帰りが遅くなると、心配になった母親はクルマで迎えに行く。だが、ほとんどの軽は、女性の力では自転車を積み込めなかった。娘は翌日に自転車がなくては困るので、親の言うことを聞かずに夜道を無理して自転車で帰ってくる-。
こんな不満を母親たちは持っていた。しかも軽には自転車が積み込めないものと初めからあきらめていた。
開発へ試行錯誤
「これだ」。浅木たちの開発方針は定まった。室内が圧倒的に広くて、女性でも簡単に自転車が積み込めるクルマ。ホンダの技術力なら絶対にできるし、やらなくてはならない。浅木の気持ちは高ぶった。
軽は外寸が決まっているから、運転席が前方に移動すればするほど車体の後ろが広くなる。前部のエンジンルームを徹底的に短くすれば、スペースが稼ぎ出せる。だが、あまり短すぎると衝突時の安全性が損なわれてしまう。