ダイハツ工業、スズキの2強時代が続いていた軽自動車市場に異変が起きている。昨年12月にホンダが発売した「N BOX」が今年4~9月の軽の車名別販売ランキングで首位を奪取、ホンダが急速にシェアを伸ばしているのだ。今後も3年以内に軽5車種を投入するなど野心的な目標をぶち上げ、2強の牙城を崩そうと虎視眈々(たんたん)と狙っている。
懐疑的な声
「本気なのか」
「N BOX」誕生の約1年前にさかのぼる平成22年秋、全国の販売店向けミーティング会場。1千人を超える販売店のオーナーや幹部が一堂に会した場で、小林浩日本営業本部長(当時)が「軽強化」を宣言すると、会場からは懐疑的な声が上がった。
無理もない。当時、ホンダにとって軽は生産台数が少なく生産効率が悪い“お荷物”。主力セダン「アコード」「シビック」の輸出で利益を上げ、軽の赤字をカバーする状況が長年にわたって続いていた。