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日本とインド「音楽でつなげられたら」 バイオリニスト 西村美香さんインタビュー

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日本とインド「音楽でつなげられたら」 バイオリニスト 西村美香さんインタビュー

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インド・ムンバイのメーリ・メータ音楽院の生徒たち。中央はインド出身で高松宮殿下記念世界文化賞受賞の大指揮者、ズービン・メータ氏=2013年9月11日(江原和雄撮影)  教え子連れ帰国

 インド・ムンバイのメーリ・メータ音楽院で講師を務めているバイオリニスト、西村美香(31)は、9月に行われる群馬県の高崎音楽祭に、インドから8歳から22歳までの教え子21人ほどを連れていく。「子供たちは元気でパワーがあって、目上の人を敬うなど日本と文化的なつながりを感じます。日本とインドは大切なパートナーです。経済だけではなく、音楽でつなげられたらいい」と話す。

 西村は慶応大学を卒業し、名教師ザハール・ブロンに師事するためにスペイン・マドリードに、そしてイスラエル・テルアビブのブッフマン・メータ音楽院で勉強した。そこの学生オーケストラを指揮しにきたインド出身で高松宮殿下記念世界文化賞受賞の大指揮者、ズービン・メータからメーリ・メータ音楽院で教えてみないか、と声がかかった。

 メーリ・メータ音楽院は、メータの父で指揮者・バイオリニスト、メーリ・メータの、インドにクラシック音楽を普及させる、という意志を引き継ぎ1995年に設立された。音楽院といっても日本の音楽大学とは違い、幼児から70歳ぐらいまで約500人が学んでいる。西村は唯一の日本人講師として昨年(2013年)4月から勤めている。

 「とてもいいチャンスをいただきました。先生の話はすぐに快諾しました。人がやっていないことをやりたい、が私のモットーなのです。若いうちじゃないと冒険はできません。最初は下痢をしたり顔中蚊に刺されたり生活は大変でしたが、子供たちを教えることに戸惑いはありませんでした。学生のうち300人はスラムの貧しい子供たちです。学校はインドの多様性を反映しているのです」

 今まで以上に練習

 中学3年生のとき、バイオリニスト、五嶋みどりのコンサートに行き、五嶋が毎年行っている、アジアの国々に生演奏を届ける「ミュージック・シェアリング」の存在を知った。

 「私も、五嶋さんと同じような活動をしてみたい、と思いました。音楽大学でなく慶応大学に行ったのもいろいろなことを学びたかったからです。インドに来て、不思議といくつもの道がつながりました」

 はじめは1年契約だったが、外国人講師でははじめて2年目も請われ、引き続き教えている。

 高崎音楽祭では高崎市少年少女オーケストラと共演、演奏だけでなく、インド舞踊も披露する予定。

 「日本行きが決まって子供たちは今まで以上に練習しています。親からもモチベーションがあがった、と感謝されました。インドは、教養の幅を広げようとクラシックを聴く人が増えてきています。これからなので面白いと思います」

 来年は、逆に日本からインドに子供たちに来てもらって演奏会が開けたら、と考えている。(月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」編集長 江原和雄/SANKEI EXPRESS

 ■Mika Nishimura 福岡生まれの東京育ち。5歳からバイオリンをはじめる。慶応大学卒。高校3年のとき 岐阜でのリスト音楽院留学試験に合格し、リスト音楽院へ留学。慶応大卒後、ザハール・ブロンの招きで全額奨学生としてマドリードのレイナー・ソフィア音楽院に留学。その後イスラエル・テルアビブのブッフマン・メータ音楽院に特別全額奨学生として留学。2013年4月から、ズービン・メータの推薦で、インド・ムンバイのメーリ・メータ音楽学校の講師に就任。

 【ガイド】

 ■高崎音楽祭2014 インド×高崎 交流ジュニアコンサート <開催日>2014年9月23日。<会場>ホテルメトロポリタン高崎。<曲>ビバルディ「四季」、パッヘルベル「カノン」など。問い合わせは、高崎音楽祭事務局(電)027・322・9195。

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