SankeiBiz for mobile

アルゲリッチとアバド 至芸の一枚 名曲名盤名演奏家対決 協奏曲編 「モーストリー・クラシック5月号」 

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのエンタメ

アルゲリッチとアバド 至芸の一枚 名曲名盤名演奏家対決 協奏曲編 「モーストリー・クラシック5月号」 

更新

月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」(5月号)。発売中  ピアノやバイオリンのソリストの華麗な演奏が際立つ協奏曲は、クラシックの華といえる。モーストリー・クラシック5月号は「名曲名盤名演奏家対決 協奏曲編」を特集している。

 ソリストとオーケストラのやりとりの面白さや、ソリストの技巧などを聴かせる協奏曲の醍醐味を味わわせてくれる一枚が、先月リリースされたアルゲリッチのモーツァルト。

 現役ピアニストの最高峰に立つアルゲリッチと1月に亡くなった巨匠アバドと、楽壇を代表する2人が約10年ぶりに共演、モーツァルト管弦楽団でモーツァルトの協奏曲第20番、第25番をライブ録音した。

 ドラマチックで華やか、非常に美しい旋律を持つピアノ協奏曲第20番などの演奏について音楽評論家の岡本稔氏は、「至芸と呼ぶにふさわしい演奏。天衣無縫に飛翔するピアノとアバドの指揮するオーケストラが絶妙な対話を交わし、音楽する喜びにあふれている」と評している。

 ケンプvsブレンデル

 器楽の協奏曲は、合唱の協奏様式とバイオリンの発展が結びつき、イタリアで17世紀末から発展した。代表的な作曲家の一人が「四季」で知られるビバルディ。「四季」はバイオリンを独奏楽器にした協奏曲だが、当時、多種多様な楽器の組み合わせの協奏曲が生み出された。「バロック時代において協奏曲はまさにボーダーレスの実験音楽の場」(西原稔・桐朋学園大教授)だった。

 特集では人気曲をさまざまな名演奏家同士で“対決”させている。たとえばショパンのピアノ協奏曲第1番は、フランソワとルビンシュタイン、アルゲリッチとツィンマーマンの2組のCDの聴き比べをしている。また、メンデルスゾーンのバイオリン協奏曲は、ハイフェッツとミルシテイン、スターンとムローヴァの4人のCDを取り上げた。

 ベートーベンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」も超人気協奏曲。「皇帝」という別名はベートーベン自身が付けたものではない。勇壮な曲想から発想された、協奏曲の中の協奏曲だから、などの説がある。この曲を1811年に初演したライプチヒ・ゲバントハウス管弦楽団がこの3月に来日。そして、ネルソン・フレイレをソリストに、世界最古のオーケストラ、ゲバントハウスの伝統を感じさせる「皇帝」を披露した。

 当然ながら、さまざまなピアニストが録音している。特集では、ケンプと世界文化賞受賞者のブレンデルを取り上げ、音楽評論家の真嶋雄大氏に2人の聴き比べをしてもらった。ドイツを代表するピアニストの一人、ケンプは親日家で、NHK交響楽団との録音が残されている。真嶋氏はケンプの演奏を「説得力に富み濃密な叙情をたたえる」と評し、ブレンデルを「堂々たる造形、スケールが大きい」と説明した。

 特集には、このほかブラームスやチャイコフスキーなどの協奏曲を取り上げ、バックハウスやアラウ、グリュミオーら著名な演奏家がたくさん登場する。(月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」編集長 江原和雄/SANKEI EXPRESS

ランキング