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【ブラジルW杯】進化形サッカー 世界に示す ドイツ、24年ぶり4度目V

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【ブラジルW杯】進化形サッカー 世界に示す ドイツ、24年ぶり4度目V

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【ブラジルW杯】1次リーグ勝敗表(G組、H組)=2014年6月28日現在、※ドイツ、米国、ベルギー、アルジェリアは決勝トーナメント進出。ポルトガル、ガーナ、ロシア、韓国は1次リーグ敗退決定  サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会は最終日の7月13日(日本時間14日)、リオデジャネイロで決勝が行われ、ドイツが延長の末にアルゼンチンを1-0で下し、西ドイツ時代の1990年イタリア大会以来24年ぶり4度目の優勝を果たした。欧州勢の世界一は3大会連続で、5度目となる南米開催の大会では初めて頂点に立った。アルゼンチンは86年メキシコ大会以来3度目の制覇を逃した。大会の最優秀選手「ゴールデンボール賞」にはアルゼンチンのメッシが選ばれ、最優秀GKの「ゴールデングローブ賞」はドイツのノイアー、得点王には6ゴールのコロンビアのロドリゲスが輝いた。

 ▽決勝

ドイツ 1(前半0-0、後半0-0、延長前半0-0、延長後半1-0)0 アルゼンチン

 ドイツは前半終了間際にCKをヘベデスが頭で合わせたがポストに当たり、アルゼンチンは後半立ち上がりにメッシが絶好機を外した。0-0で決勝としては3大会連続の延長に突入し、ドイツは延長後半8分にシュルレの左クロスからゲッツェが決勝ゴールを蹴り込んだ。

 ゲッツェは後半43分に、今大会でW杯通算最多の16得点目をあげたチーム最年長のクローゼと交代して出場。その際、クローゼに「お前が(勝負を)決める気がする」と耳打ちされた。36歳から22歳への勝負をかけたバトンタッチ。選手層の厚さが強みのドイツを象徴するようなシーンだった。決勝ゴールのお膳立てをした23歳のシュルレも前半31分から出場した控え組だった。

 育成システム改革

 選手層の厚さは、イタリア大会後の低迷期に、選手育成システムの改革に着手した賜物だった。ドイツのかつてのスタイルと言えば、強靱な体力と規律、そして「ゲルマン魂」と称される不屈の闘志だった。だが、時代は変わる。W杯で94、98年大会にベスト8に終わると、欧州選手権では2000、04年に2大会連続で1次リーグ敗退。技術面で後れを取り、伝統的なスタイルは時代に取り残されつつあった。

 危機感を募らせたドイツ協会は将来の代表選手を生む育成の改革に乗り出した。まず毎年1000万ユーロ(約13億8000万円)を投じ、年代別の代表強化を徹底。さらに、国内リーグ各クラブの下部組織を整備し、旧東ドイツやトルコ系の選手らの発掘にも力を入れた。今大会で試合に出た18人の3分の1が二重国籍者で、クローゼはポーランド出身、中盤の要、エジルはトルコ系3世だ。

 多彩な攻撃

 技術面でも飛躍した。現在、ドイツの国内リーグのみならず欧州のサッカーシーンを牽引するバイエルン・ミュンヘンが2013年に、W杯前回大会王者のスペインの土台となったバルセロナからジョゼップ・グアルディオラ監督(43)を迎えると、ドイツサッカーが質的に変化。スペインや南米のエッセンスも加わり、足元の技術が向上した。中からもサイドからも崩す今大会のドイツの攻撃は実に多彩だった。真面目に各選手が役割を果たすドイツらしさは変わらず、スピードや変化を加えて時には速攻も仕掛ける。ポゼッション(ボール保持)するのはスペインと同じだが、さらにその上をいく次の時代のサッカーを示した。

 ヨアヒム・レーウ監督(54)は「ドイツはこの10年以上、常に進化してきた。このチームには明るい未来がある。エジルやゲッツェもみんな若く、まだまだ先がある」と語り、黄金時代の到来さえも予言した。(SANKEI EXPRESS

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