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【ブラジルW杯】3位決定戦 ブラジル完敗 守備崩壊 オランダの術中にはまった

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【ブラジルW杯】3位決定戦 ブラジル完敗 守備崩壊 オランダの術中にはまった

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【ブラジルW杯】決勝トーナメント_準決勝進出4チーム。※ボスニアはボスニア・ヘルツェゴビナ。FIFA(国際サッカー連盟)の順位は最新ランキング。日時は日本時間=2014年7月  ≪若手が大舞台経験 「この悔しさを糧に」≫

 サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会は7月12日、ブラジリアで3位決定戦を行い、オランダがブラジルを3-0で下した。地元ブラジルは7失点の歴史的大敗を喫したドイツとの準決勝から先発6人を入れ替えて臨んだが、立て直せなかった。守備が甘く、準々決勝で脊椎を骨折したネイマール不在の攻撃も迫力を欠き、完敗で4位に終わった。

 ▽3位決定戦

ブラジル 0(前半0-2、後半0-1)3 オランダ

 大ブーイングの中、自国開催のW杯が終わった。エースのネイマールがベンチに入り、観客も「ブラジル」コールで後押ししたが、低調な内容で期待を裏切った。

 開始早々、スピードに乗って走り込んできたロッベンへの対応でチアゴシウバが完全に出遅れた。止めるには手をかけるしかなかった。

 ペナルティーエリアの内か外か、微妙な位置だったが判定はPK。これを決められ、ブラジルは守備を固めてカウンター攻撃を狙うオランダの術中にはまった。

 スコラリ監督が「退場になってもおかしくなかった」という反則覚悟のプレー。それほど与えたくなかった先制点を奪われたことで、必勝を期すブラジルは攻めるしかなくなった。

 しかし相手は最終ラインに5人が下がり、センターバックを3人置く布陣。中央突破は難しく、横パスを回す間に相手のプレッシャーを受け、ボールを失って逆襲を受ける場面が増えていった。

 守備陣も早々の失点で、大敗したドイツ戦の記憶が頭をよぎった。ダビドルイスは「パニックが起きていた」と振り返る。特にロッベンに速さで抜かれるのを怖がるあまり、守備ラインがずるずると下がり、他の選手をフリーにしてしまった。

 前半17分はボールを持つロッベンに対してチアゴシウバが距離を取って守る間に、デグズマンへパスでつながれ、そこからクロス。これはダビドルイスがゴール方向に戻りながら頭でクリアしたが、ペナルティーエリア中央のブリントに渡り、2点目を決められた。

 ネイマールを欠いた攻撃陣も不振でパスが2本、3本とつながる場面はほとんどなく、攻めあぐねてはボールを奪われ、カウンターを食らう悪循環に。終了間際に3点目を奪われた。

 累積警告で欠場した準決勝から復帰した主将のチアゴシウバも「相手のダイレクトパスやワンツーについていけなかった」と完敗を認めるしかなかった。

 ≪若手が大舞台経験 「この悔しさを糧に」≫

 完敗のブラジルにとって数少ない収穫は、若い選手たちがW杯の舞台を踏んだことだ。スコラリ監督は「この世代は世界の4強として再スタートできる。2018年への道は開けている」と、4年後のロシア大会での活躍に望みを託す。

 チームの23人のうち、W杯代表経験があったのはGKジュリオセザール、DFマイコンら6人だけ。守備陣が混乱した最後の2戦のように、自国開催で優勝を求められる重圧はもちろん、W杯独特の緊張感にのまれた印象も否めない。攻撃陣もエースのネイマールを欠くと機能しなくなった。苦境のチームをまとめる強力なリーダー不在も大きかった。

 今大会で初めてW杯のピッチに立った選手で、22歳のネイマールとオスカルや、21歳のベルナルジはもちろん、27歳のダビドルイス、26歳のマルセロらも次回大会では十分に主力を担える年齢だ。ダビドルイスは「この悔しさは、18年に6度目の優勝を果たすための大きな動機づけになる」と巻き返しを誓う。

 苦い経験を糧に、来年の南米選手権、さらにW杯予選と場数を踏み、カナリア軍団は復活を目指す。

 ≪ネイマール 4年後へ再起誓う≫

 姿を現しただけで、約6万8000人の大観衆を喜ばせた。ネイマールはユニホーム姿でベンチに座り仲間の戦いを見守った。

 試合前の練習中に、ベンチに座る様子が会場内の大型映像装置に映し出されると笑顔で手をたたき、歓声に応えた。「大敗しても支えてくれるファンがいる。幸せに思う」と話していたエースの気持ちが表れた。しかし、チームは完敗。試合後はスコラリ監督の記者会見に私服姿で現れ、静かに抱擁を交わして去った。

 今大会の活躍と離脱後の失速で、ネイマールがブラジルの大黒柱だと誰もがあらためて認める結果になった。7月11日の記者会見では「ブラジルはもはやサッカー王国ではないのでは」と問われ、「一度大敗したからといって、その質問には同意できない。ブラジルは常にブラジルだ」と即答して誇りをにじませた。背番号10は4年後の王国復活へ、再起を目指す。(共同/SANKEI EXPRESS

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