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【ブラジルW杯】悲劇超える惨劇 王国「崩壊」 ブラジル歴史的大敗 「10」不在埋められず

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【ブラジルW杯】悲劇超える惨劇 王国「崩壊」 ブラジル歴史的大敗 「10」不在埋められず

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【ブラジルW杯】決勝トーナメント_準決勝進出4チーム。※ボスニアはボスニア・ヘルツェゴビナ。FIFA(国際サッカー連盟)の順位は最新ランキング。日時は日本時間=2014年7月  悲願の自国開催優勝を目指したサッカー王国の戦いは、1950年の「マラカナンの悲劇」を超える惨劇で幕を閉じた。サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会は7月8日、ベロオリゾンテのミネイラン競技場で準決勝が行われ、ブラジルはドイツに1-7の大敗を喫し決勝にも進めなかった。ブラジルの7失点は34年以来、6点差をつけられたのは20年以来という歴史的な敗北。スコラリ監督は「史上最悪の負けだろう。決勝に進めなかったことを国民に謝りたい」とうなだれた。国民の誇りであり、希望でもあるセレソン(ブラジル代表)の無残な姿に国内は悲しみに沈んだ。

 「ネイマールのために」。絶対的エースが準々決勝での脊椎骨折で離脱したチームは結束した。全員がネイマールへのメッセージが書かれた帽子をかぶって試合会場に入り、背番号「10」のユニホームを携えてピッチに整列した。

 だが、エースに加え、主将でセンターバック(CB)のチアゴシウバも累積警告で出場停止。攻守の要を欠いたチームはもろくも崩壊した。

 前半11分のドイツのコーナーキック。代わりにキャプテンマークを巻いたCBダビドルイスがミュラーのマークを外すミスで先制される。勝負を決めたのは、前半23分にクローゼが決めたW杯通算最多の16点目となるゴールだ。ブラジルのお株を奪うゴール前の連係プレーで完璧に崩された。精神的ダメージは大きく、29分までのわずか6分間で4点を失った。

 ゴールキーパーのジュリオセザールは「パニックになっていた。チームが機能せず、相手を簡単にゴールまで来させてしまった」とうなだれた。

 悲しみに沈む

 エース不在をスコラリ監督は「影響はなかった。それを言い訳にするのはやめよう」と強がったが、誰もがネイマールがいてくれたらと思わずにはいられない場面が何度もあった。

 サイドで代役を務めたベルナルジやフッキのドリブル突破は簡単に止められ、中央のフレジやオスカルは厳しい寄せに苦しんだ。相手の厳しいマークを引きつけ、それをかわして一気に局面を打開できる「10」番の役割の大きさを痛感させられた。

 ネイマールのように、相手守備ラインの裏を狙ったパスに俊足で追いつける選手もいなかった。ブラジル守備陣は仕方なく中盤にパスを出すしかなく、ドイツの出足の鋭いプレスの餌食になって逆襲を食らった。

 ブラジルは攻守のバランスを失って自滅。終わってみれば、「ネイマール頼みのチーム」でしかなかった。

 シュート1本に終わり、後半24分にスタンドから容赦ないブーイングを浴びて交代したフレジは「これからの人生で、ずっと背負い続けなければいけない傷痕だ」と言葉を絞り出した。ダビドルイスは涙を流し、「本当に悲しい日だ。こんな結果は望んでいなかったし、ブラジル国民を喜ばせたかった」と声を震わせた。

 前回の自国開催の決勝リーグ最終戦でウルグアイにまさかの逆転負けを喫して優勝を逃した「マラカナン(競技場)の悲劇」から64年。ブラジルメディアは「あの悲劇はもはや何でもない過去のものになった」「史上最大のミネイランの恥」と手厳しく報じている。王国の歴史に簡単には消せない汚点が刻まれてしまった。(SANKEI EXPRESS

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