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時空を超えたコラボレーション必見! 「特別展 ガウディ×井上雄彦-シンクロする創造の源泉-」
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井上雄彦「トネット」(2013年、提供写真)。(C)I.T.Planning
スペイン建築家の巨人、アントニオ・ガウディ(1852~1926年)の生涯や偉業を人気漫画家、井上雄彦(47)が紹介、表現する「特別展 ガウディ×井上雄彦-シンクロする創造の源泉-」が7月12日から、森アーツセンターギャラリー(東京都港区六本木)で始まる。井上は受けたインスピレーションをもとに、和紙(縦3.3メートル、横10.7メートル)にガウディの宇宙観を描いた大作など描き下ろし約40作を展示する。
展覧会は、日本とスペインの交流400周年を記念した事業のファイナルイベントとして行われる。
展示には、カタルーニャ工科大学などバルセロナの関係機関の協力を得て、ガウディが描いたスケッチや、デザインした家具、建築模型などの資料約100点が公開される。とくに、家具約10点は、大きな建築だけでなく、小さなものでも、自分の感性と細部にこだわったガウディの才能や性格を如実に伝えるものとして必見。
展示は大きく、3章に分かれる。第1章では、少年「トネット」(愛称)時代や無名のころのガウディを紹介。病弱だった少年が動植物の観察に明け暮れたことや、学費のためにアルバイトまでする若い姿を資料とともにたどる。
第2章では、建築家としての転機、支援者のアウゼビ・グエイ(グエル)との出会い、黄金期を振り返る。次々つくった代表作を模型やスケッチとともに紹介する。
第3章は、名声を得たガウディが、ほかの仕事を断って、集大成ともいえるサグラダ・ファミリアの建築に打ち込むようになった晩年を紹介。生きている間に完成しないことを知りながら、神に捧げるようにつくり続けたガウディ。そうした創造の姿勢からインスピレーションを得て、井上はガウディの宇宙観を表現するという。
展示場では、3面の大型スクリーンでガウディの建築物やスペインの風景などを放映。また、井上が描いた作品約40点を展示。そのうち絵が動くプロジェクション・マッピングもあり、楽しくムードを盛り上げる。
圧巻なのは、第3章に展示される和紙の大作。今年5月中旬、職人とともに自ら漉(す)いた越前和紙の大紙に現在、制作中で、展覧会での公開まで、内容はまったく分からない。1枚だけの和紙に1度だけ描く“真剣勝負”だ。
井上はガウディを題材にしたスケッチや紀行文、写真で構成する本「pepita」(スペイン語で種)を2011年から出版、3作まで出している。
しかし、井上は今回の展覧会のため、ほかの仕事を断り、スペインを3回訪ね、長いときは1カ月も滞在した。
展覧会を主催、企画・制作する東映の脇田さくら文化事業室課長は「本と展覧会とはまったく別の内容になると思う。国や時空を超えて、創造する2人がシンクロする新しい世界をぜひ見てほしい」と話している。(原圭介/SANKEI EXPRESS)