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上野の森美術館 木梨憲武展 あふれる生命力 多彩な300点
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人気タレントの木梨憲武(のりたけ)さん(52)には、アトリエで絵筆を握り、ものをつくる、アーティストの顔もある。
約20年にわたる制作活動を紹介する「木梨憲武展×20years INSPIRATION-瞬間の好奇心」(産経新聞社ほか主催)が、東京都台東区の上野の森美術館で開かれている。
絵画やオブジェ、映像作品など約300点。緻密な風景ドローイングから、鮮やかな色面で構成したペインティング、即興的に色や文字を散らしたグラフィティ(落書き)風…作風は多様だ。インスピレーションのわくまま、体の動くまま、自由に制作されたのがわかる。
絵画を本格的に始めるきっかけは、1994年に放送されたバラエティー番組。“憲太郎画伯”として岡本太郎に扮(ふん)した木梨さんがパリで風景画を描き、現地の若手アーティストと対決する企画だったのだが、キャンバスにマジックで一気に仕上げたドローイング「セーヌ川」は、なかなかの腕前。94年には番組企画として初個展も開催した。以来、描くことは日常となり、作品は「絵日記のようなもの」と木梨さん。時間があれば画材店に出向き、ペンや絵の具など面白そうな材料を見つけては、創作意欲を新たにするのだとか。個展は今回が8度目となる。
≪ユーモアいっぱい 「ノリさん」ワールド≫
生命力あふれる木々や花の作品が多い。「感謝」(2013年)はブーケの花がキャンバスをはみ出し、壁にまで広がる。また、新作「春のにおい」(14年)など、移ろう季節と自然への感謝にあふれた作品も力強い。
展示室は「とんねるずのノリさん」の芸風同様、明るく軽やか、ハッピーな空気。隅に木梨さんそっくりの女性監視員(もちろん人形!)が座っていたりと、随所にユーモアやいたずらも。馬券の裏や帽子に描いた絵も楽しい。また、手と手を描いた「REACH OUT」シリーズ、極細ペンで何百人もの友達を描いた「Friends」(03年)には、人とのつながりを大切にしてきた木梨さんの姿勢があらわれている。
こうした広い交友から生まれたコラボレーションも見どころ。ひときわ目をひくのが、彫刻家・山本麻璃絵(まりえ)さんと制作した「heavenly bird-天国の鳥」(14年)。高さ約3メートルに及ぶ木彫だ。さらにビーズアーティスト、田川啓二さんとの美しい共作のほか、妻で女優の安田成美さんや息子たちとの心温まるコラボレーションも。終始ポジティブな憲武ワールドは、難しい芸術解釈を超えて、見る人に元気を与えてくれるだろう。(EX編集部/SANKEI EXPRESS)
■「木梨憲武展×20years INSPIRATION-瞬間の好奇心」 <会期>6月8日まで(会期中無休)。<会場>東京・上野の森美術館。<時間>午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)。好評につき金・土は午後7時まで延長(入館は午後6時30分まで)。<入場料>当日券は一般・大学生1300円、中・高生700円、小学生以下は無料。詳細はwww.kinashiten.com。