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ブラジリアン・ニューウエーブの世界 フェルナンダ・タカイ、チガナ・サンタナ

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ブラジリアン・ニューウエーブの世界 フェルナンダ・タカイ、チガナ・サンタナ

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ブラジル出身のシンガー・ソングライター、フェルナンダ・タカイ(Bruno_Senna撮影、提供写真)  サッカーファン待望のFIFAワールドカップ2014がまもなく開幕する。でも盛り上がっているのはサッカーだけではない。ブラジル音楽シーンも活性化し、数多くの話題作や企画盤がリリースされるようになっている。そのなかでも注目したいのが、ブラジリアン・ニューウエーブとでもいいたくなる新しいタイプのミュージシャンたち。ブラジル音楽といえば、ボサノバやサンバをはじめとするその土地ならではのサウンドを想像しがちだが、実際にはロックやポップス、ヒップホップやエレクトロニカまでさまざまなタイプの音楽にあふれている。ちょっと意外なアーティスト2組に注目してみたい。

 キュートな歌声

 まずは、フェルナンダ・タカイ。その名前から想像される通り、日系3世の女性シンガー・ソングライターだ。1990年代には「ブラジル版渋谷系」ともいわれたパト・フというグループで活躍。ソロでは伝説の歌手ナラ・レオンにささげたポップなボサノバ作品から、ポリスのアンディ・サマーズとの共演作など、さまざまなスタイルで話題を生み出し続けてきた。

 最新作「はかりしれない」は、シュールな和テイストのジャケット写真に驚かされるが、音楽的にはUKポップやブルックリンのインディーズシーンなどにも通じるキャッチーな内容。バンドとプログラミングをバランス良く駆使した手作り感のあるサウンドと、キュートな歌声が見事にマッチしている。ジョージ・マイケルのナンバーや映画「アメリ」の主題歌をポルトガル語でカバーしているのもなかなか面白い。

 静かでソウルフル

 もうひとりの注目株は、チガナ・サンタナ。アフロ・ブラジルの故郷といってもいい北東部バイーア州出身で、ソウルフルなボーカルを武器にギター弾き語りをメーンとするシンガー・ソングライターだ。彼はブラジルだけでなくヨーロッパでも人気があり、新作「ジ・インヴェンション・オブ・カラー」もスウェーデンのストックホルムで録音されている。そのためか、どこか静けさを感じさせる作風が特徴で、変則チューニングを施したギターに乗せた内省的な歌声が胸を打つ。また、アフリカの弦楽器コラをフィーチャーするなど自身のルーツを大切にしながら新しい世界観を打ち出しているのがポイントだ。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS

 ■Fernanda Takai ブラジル出身のシンガー・ソングライター。「ブラジル版渋谷系」といわれたパト・フのメンバーとして1992年にデビュー。ポリスのアンディ・サマーズや元ピチカート・ファイヴの野宮真貴ら、ジャンルと国境を超えた共演も多数あり。

 ■Tigana Santana ブラジル出身のシンガー・ソングライター。2009年にアルバム「マカレー」でデビュー。11年に行ったヨーロッパツアーがきっかけで海外でも大きな評価を得る。最新作はストックホルムで録音した「ジ・インヴェンション・オブ・カラー」。

 ■くりもと・ひとし 音楽&旅ライター、選曲家、ビルボードライブ企画プランナー。2年間の中南米放浪の経験を生かし、多彩なジャンルで活動中。情報サイト、All Aboutでアルゼンチンのガイドを担当。最新著書は「アルゼンチン音楽手帖」。

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