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日本発、世界水準の新感覚ピアニスト 中島ノブユキ、Kan Sano
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ピアニスト、作曲家、中島ノブユキ(提供写真) 新年早々にSANKEI EXPRESSで「今年の一押しはピアニスト」というようなことを書いたのだが、さっそく期待に違わないアーティストや作品が続々と登場している。それは海外だけでなく、日本の音楽シーンでも顕著だ。以前はピアノというと、クラシックやジャズがメーンで、ジャンルごとにカテゴライズされている印象が強かった。しかしここ数年は、その境界をまたぐように活動を行うピアニストが急増している。長い歴史を持ち、珍しくもない楽器であるにもかかわらず、彼らのプレーが新鮮に響くように感じるのがとても興味深い。
そういったピアノブームを引っ張っている演奏家の一人が、中島ノブユキだ。パリ仕込みのセンスとテクニックで数々のサポート活動を行うかたわら、2006年の「エテパルマ」を皮切りにソロでもアルバムを発表。そしてなんといっても、フランスの歌姫ジェーン・バーキンのワールドツアーで音楽監督を務めたことで、さらなる評価を高めた。最近では映画やテレビのサントラ仕事も多く、NHK大河ドラマ「八重の桜」のスコアを手がけて大きな話題を呼んだ。
ソロアルバムではさまざまなコラボレーションを行っているが、2月19日にリリースされる新作「clair-obscur」は完全にピアノだけで録音した独奏集。全曲自作曲で固め、ストイックなまでにそぎ落とされた音からは、映像的でリリカルな美しさがあふれ出てくる。ピアノ1台で潔く表現する手腕こそ、彼の真骨頂といってもいいだろう。
もう一人ユニークなピアニストを挙げるなら、Kan Sanoも無視できない存在だ。Monday満ちるやベニー・シングスといったゲストを多数迎えた新作アルバム「2.0.1.1.」は、とにかく華麗な雰囲気に包まれた傑作。アコースティックなピアノはもちろん、エレクトリックピアノやシンセサイザーなどをフルに駆使し、昨今のクラブミュージックにも通じるジャジーで流麗なプレーが聴きどころ。加えて、スティーヴィー・ワンダーを思わせるソウルフルなソングライティング能力や、スケール感と浮遊感を感じさせるトラックメーカーとしての実力も申し分ない。おそらく、次世代のピアノミュージックを牽引する存在となることだろう。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS (動画))