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ローカルでグローバルな響き オマール・スレイマン、アラゲホンジ
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アーティストのオマール・スレイマン(Hisham_Bharoochaさん撮影、提供写真) 一般的に民族音楽と呼ばれる世界中のローカルミュージックには、お祭り音楽がたくさん存在する。そもそも音楽というのは、特別な儀式や闘いを鼓舞するために利用されたものが多かったから、祭りで使われること自体が当然。ブラジルのサンバや日本の盆踊りなんかはその代表だ。しかし、最近はそういった民族的な祝祭性を抽出し現代の音楽と組み合わせることで、新しいお祭り音楽を生み出すミュージシャンが急増中。これらはグローバルとローカルを組み合わせて「グローカル」なんて呼ばれることも多い。
オマール・スレイマンは、そんなグローカル音楽シーンで突出したアーティストの一人で、中東シリアの伝統音楽タブケをエレクトリック化することでトップスターとなった。タブケは、おもに結婚式などで演奏されるジャンルであり、実際に彼もおめでたい場での演奏活動を主軸としていたが、独自に新しいエッセンスを加えたサウンドを生み出しているうちに、ビョークやトム・ヨーク(レディオヘッド)らが大絶賛。ついにアルバム「ウェヌ・ウェヌ」で本格的な世界デビューを果たした。彼のサウンドの特徴は、4つ打ちのアッパーなビートにヘビ使いの笛のような音色がブリブリとはい回り、アラブ特有のメロディーラインが歌われること。猛烈に異国情緒を感じるが、新しい感覚に満ちている。
わが国日本でもグローカルなアーティストが続々と現れているが、その最先鋭がお祭りロックバンドを自称するアラゲホンジ。本格的に伝統楽器を学んだリーダーの齋藤真文を中心に、ギターやドラム、篠笛に和太鼓、そしてダンスパフォーマーまで加わった5人編成。ライブでは、さらにサポートも交えてお祭り騒ぎになるらしい。2作目となるアルバム「たからかぜ」もそんなライブ感に満ちた楽曲をたっぷり収録。彼らの手にかかれば、福島の「相馬盆唄」や石川の「加賀ハイヤ」といった各地の民謡が、グルービーなダンスビートにアップデートされる。オリジナルナンバーもメロウでポップな楽曲が多く、「民謡+ロック=色モノ」もしくは「民謡はダサい」という固定観念を、見事にぶっ壊してくれる痛快なグループなのだ。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS)