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生き方編 旅は多くのことを気づかせてくれる
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ラーラぱど「ノスタルジックin香港」より(宮崎貢司さん撮影、提供写真)
みなさん、旅はお好きですか。最近、旅に出ましたか。私は今月スウェーデン、昨年は香港を訪れました。若い頃から、私にとって旅はとても大事なものでした。
今ではお仕事での旅が多くなりましたが、30代までは、よく1人でふらりと南国へと出かけたものです。特にお気に入りだったのは、フィリピン・セブ島。空港に降りた瞬間から感動が始まり、煮詰まった心を溶かしてくれます。どうしてこんなことで悩んでたんだろうと、ふわっと解放されるのを感じます。
南国は、生き物も植物もとてもカラフル。「明度が高いな」と感じます。「ビタミンカラー」とはよく言ったもので、生きる力が強く、目からパワーをもらえます。洋服も、周りの環境に負けないように、ショッキングピンクぐらいでちょうどいい。
私はヘアメークの仕事をしていますから、色彩や明度のことで煮詰まったこともありました。でも、そんなとき、南国の自然から多くの学びを得ました。「この色とこの色が合うのね」、などと。自然界は私にとって一番の先生です。
38、9歳のときです。円形脱毛症で苦しんでいた私は、思い切って5日間のお休みをいただき、セブ島へ飛びました。そのとき訪れたジャングルで、忘れられない経験をしたのです。
ジャングルの中は、未舗装のデコボコ道。風や雨になぎ倒された樹木が、道をふさいでいたりもします。でも、そんな自然は私をやさしく受け入れてくれました。倒れても、次の木々を育む土台となり、命をつないでいく。全てをありのままに受け入れている自然のやさしさに、私は涙が止まりませんでした。
本当に傷ついた人には、飾られた言葉は役に立たない。本当のやさしさに、言葉はいらない。ただ、その人を思って寄り添い、受け入れるだけでいいのだと、自然が教えてくれました。
このように、旅は多くのことを気づかせてくれます。旅…いえ、人生で私が大事にしていることは、「感動」です。「1日に何度感動しただろう」と自分自身に問いかけます。感動するということは、自分自身の心を美しくするということ。
旅先でも、私は自分が心引かれたところがあると、移動途中でも車を止めて、降ろしてもらいます。本当に気に入った所には2時間でも3時間でもいて、「どうして私は感動したんだろう。なぜこの場所がこんなに私の心を揺さぶるのだろう」と、五感を研ぎ澄ませて考えるのです。そうすると、自分の中の奥の部分が、溶けていく。体が柔らかくなるのを感じます。「わあ、すてき」で終わらせるのでなく、掘り下げて考えることで、より深い感動にたどり着くことができるのだと私は思います。
昨年訪れた香港でも、心揺さぶる場所がありました。丘の上にあるコロニアル様式の美しいホテル。窓からは鮮やかなブルーの海を眺めることができます。今回の写真も、その場所で撮りました。山の中にありますから、当時は人の手で資材を担いで建てられたそうです。訪れるのも当時は一苦労だったことでしょう。それだけの苦労をしてでも、見たい景色があった。目の前に広がる美しい海を見ながらそんなことを考えるうち、ここでも涙が自然とあふれてきました。
今まで色んな国に行きましたが、思うのは「太陽はどこに行っても輝いている」ということ。太陽に嫌われないように、太陽を受け入れて、前向きに生きていきたいと思います。
愛を込めて IKKO(美容家 IKKO/SANKEI EXPRESS (動画))