毎日とても寒いせいか、体が固くなってストレスもいっぱいです。そんな時は恋人と近所の温泉へ。都内で一番好きな温泉は“仙川湯けむりの里”。自宅から電車で３０分くらいです。彼は長風呂、私はカラスの業水ですので、先に出て待っている時間にアロマトリートメント受けることにしてみました。

　まず、温泉に着いたら先にエステの予約。私の場合は３０分後くらいがちょうどいいです。服を脱ぎ、温泉で体を洗って、湯船につかり温まったら露天風呂へ。浅い場所で足を伸ばし岩を枕にして目をつぶると体が少し浮いて気持ちがよく、昼間は青空、夜は星空が見えます。室内に移動し、１２種類もあるお風呂を少しずつ楽しんでいましたら、私の目の前にいた女の子がジェットバスのバーをつかんで、バレエを踊っていました。とても上手でしたので思わず拍手をしたら彼女は恥ずかしそうにお母さんのところへ行ってしまいました。

　エステルームは、お風呂と脱衣所の中間にあります。裸のまま部屋に入ると、四つのベッドが並んでいて２人裸でうつぶせになっていました。初めてこの光景を見た時はあまりにも大胆な様子に腰を抜かしそうになりました。

　服を着たままの整体やマッサージでさえ、隣のベッドの間にはカーテンが引かれているのに、ここには何もないのです。個室で紙ショーツ一枚のボディトリートメントでも部屋を薄暗くしてくれるのに、ここは明るくて全て丸見え。温泉の延長線上にあるので抵抗はなかったのですが少しドキドキしました。でも、ここのエステは高級スパなみの腕のいいエステシャンが多いので嬉しいです。

　デトックス効果が大きいせいか、施術後はお腹がとてもすきました。しゃぶしゃぶ食べ放題に寄り、恋人が私のためにお料理を運んでくれて、お肉もとってくれてお姫様気分。でもその後は、酔っぱらいになった彼の説教が始まりました。いつもなら言い返して大げんかになりますが、温泉後の余韻のおかげで説教が童話の朗読のように、ちょっといい話に聞こえてきましたよ。

　■ひらまつ・あきこ　１９７０年、愛知県生まれ。広告プロダクション退社後、フリーのイラストレーターに。ファニーでエレガントなイラストで人気を集め、現在は「ＧＬＯＷ」でコミックエッセーを連載中。「ｋａｔｅ　ｓｐａｄｅ　ｎｅｗ　ｙｏｒｋ」日本公式ブロガー。水墨画や日舞をたしなみ、着物を愛好する。著書に「お洒落きものイズム」（グラフィック社）など。ＬＩＮＥのスタンプ「ラヴ＆ゴージャス」が発売中。ｋｉｍｏｎｏｓｎａｃｋ．ｂｌｏｇｓｐｏｔ．ｃｏｍ