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初めての一人旅 平松昭子

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初めての一人旅 平松昭子

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 【和のスタイル】

 初めて、世界遺産の日光東照宮へ行ってきました。中学の修学旅行で行くはずでしたが、その年の1985年は国際科学博覧会の年。日光には行かず、万博開催地の茨城県つくば市に変更になりました。その後も日光とは縁がなく東照宮のことは教科書で知るぐらいで、世界遺産になっても全くぴんときませんでした。

 アシスタントをしてくれているFちゃんは宇都宮出身。インターンシップのお2人も宇都宮の大学の生徒さん。彼女達が大学内のギャラリーでグループ展をされるというので、こんなに宇都宮に縁があるなら一度は行ってみようと一人旅を企画しました。そこで、せっかくなら同じ栃木県内にあるまだ行ったことのない日光東照宮もこの目で見て感じてみたいと思ったのです。しかし、大きな不安がありました。実はこれまで未知の場所に一人旅をしたことがないのです。私は信じられないほどの方向音痴なのです。

 緊張しすぎて、朝から胃がきりきりと痛みました。新幹線は1時間間違えて指定席を買ってしまいましたが、なんとか宇都宮駅に到着しJR日光線に乗り換えて日光駅に到着。駅前には世界遺産めぐりという親切なバスがちょうど発車するところでした。運が向いてきたようです。

 ところが、降りる駅を間違えて、日光山輪王寺大猷院というお寺に入ってしまいました。100段もの階段を上りきってから気づいたので、もう降りる気力は残っていません。ふらふらと他の観光客に着いていき住職さんのお話を伺うことにしました。するとそこは徳川三代将軍「家光公」の廟所(びょうしょ=墓所)。私の目の前にある絵は狩野探幽の唐獅子。しかも、修復をしていないというので、当時の気迫のようなものを肌で感じる事ができました。迷い込んだお寺で、こんなに素晴らしい体験ができるなんて! 少しだけ一人旅の楽しさを知ることができました。次回は東照宮のお話です。楽しみにしていてくださいね。(イラストレーター 平松昭子/SANKEI EXPRESS)

 ■ひらまつ・あきこ 1970年、愛知県生まれ。広告プロダクション退社後、フリーのイラストレーターに。ファニーでエレガントなイラストで人気を集め、現在は「GLOW」でコミックエッセーを連載中。「kate spade new york」日本公式ブロガー。水墨画や日舞をたしなみ、着物を愛好する。著書に「お洒落きものイズム」(グラフィック社)など。LINEのスタンプ「ラヴ&ゴージャス」が発売中。kimonosnack.blogspot.com

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