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三猿の教えとわが息子 平松昭子

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三猿の教えとわが息子 平松昭子

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 【和のスタイル】

 今回は日光東照宮のお話です。時間は夕方の4時をまわっていましたので、「5時閉館のため急いで回ってください」とアナウンスが流れていました。修学旅行生や観光客の団体は、焦る事無くのんびりしています。私も安心して彼らのペースについていくことにしました。知らない団体のガイドさんの説明が聞こえてきて、ちょっと得した気持ちになりました。

 有名な「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿は、かわいい小猿が目と口と耳をふさいで本当にかわいらしい姿です。以前、息子が中学のときの修学旅行で、木彫りの小さな置物をお土産にくれました。それがとっても愛らしくて、ずっと玄関に飾ってあります。

 なんとなく意味は知ってはいましたが、その猿たちが8枚の木彫像の中で人間の平和な一生を説いたものだとは知りませんでした。小さな頃は、余計な事を見すぎたり話しすぎたり聞きすぎるのは良くないということと、大きくなって好きな人ができて、家庭をもち子供が生まれて、また同じように繰り返すお話になっていました。

 現代は情報が多すぎるため、人間の欲望が子供の頃に満たされ過ぎています。大人になって何がしたいのか分からなくなり、おかしな犯罪につながってしまうような気がします。好奇心はとても大切ですが、子供のかわいらしい好奇心を大人が大事に守るべきですね。そんな事を息子を産んだ15年前は気づきませんでしたので、もう手遅れなのですが、彼がこの猿の置物をお土産にしてくれたことを思うと、今からでも間に合うのではと思うようになりました。

 さっそく、パソコンやスマートフォンにパスワードでロックをかけてみましたが、使う時に面倒ですぐに解除してしまいました。いつのまにか息子は、私の古い使わなくなったiPhoneを自分のものにしてしまいました。最近は朝、彼を起こしにドアを開けると片手でiPhoneを握りしめたまま眠っています。三猿の大切な教えがなかなかうまくいきません。だからずっと言い伝えられているのですね。

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