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あらためて実感 日本人の「宝」 平松昭子
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今年の春に公開された映画『ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ』をDVDで見ました。ダイアナは世界的ファッション誌「ハーパース・バザー」や「ヴォーグ」で活躍した編集者です。彼女が関わった美しい表紙やコラムは常に新しいものの見方を提案しています。
編集長を務めた「ヴォーグ」では経費を無限に使い、ある時は未開の土地までロケにいき野生の動物と着飾ったモデルを撮影しました。彼女は読者に夢を与え続けました。そんな彼女が日本でも撮影をしていたなんてこの映画を見るまで知りませんでした。
ダイアナは日本に着くとすぐ、長身のモデル、ヴェルーシュカと釣り合う男性モデルを探したそうです。そしてついに背が2メートル以上もあるスレンダーな体形の力士を発見。雪景色の中での撮影シーンは、何ともエキゾチックでしたので今回のイラストにしてみました。
ヴェルーシュカは「彼は息を吸う力が強くて、煙草を一息で根元まで吸ってしまうの」というようなことを話しています。そのシーンには、なぜか平浩二が歌う「バス・ストップ」が流れていました。もしかして、ダイアナが好きな曲だったのかもしれないですね。さらにダイアナは着物の撮影で、芸者の動き「科(しな)」を伝えるため、自ら鏡の前にたちポーズをとりカメラマンに説明したそうです。
「女性は皆、芸者の訓練をして“誇張”から学ぶべきよ」と話しています。私も日舞で「しな」を学んでからモデルをするときの動きがきまるようになりました。ものにするまで約10年はかかったと思います。初めはロボットのような動きしかできなかったのですが、体の芯を使って動かすことができるようになると動きの一つ一つが滑らかにつながるようになりました。
「神は日本人に石油もダイヤも金も与えなかった。だけど神は日本人にスタイルを与えた」とダイアナはコメントしています。まさに、この連載のタイトルのようですね!(イラストレーター 平松昭子/SANKEI EXPRESS)