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清志郎ワールドに思い込め 映画「ケンとメリー 雨あがりの夜空に」 竹中直人さん、北乃きいさんインタビュー

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清志郎ワールドに思い込め 映画「ケンとメリー 雨あがりの夜空に」 竹中直人さん、北乃きいさんインタビュー

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 深作(ふかさく)健太監督(41)の新作「ケンとメリー 雨あがりの夜空に」は、ロックミュージシャン、忌野清志郎(いまわの・きよしろう、1951~2009年)の名曲「雨あがりの夜空に」にありったけのオマージュをささげたコメディータッチのロードムービー。主演は、忌野の葬儀で弔辞を読み、「24歳のときから公私ともにお世話になった」と語る竹中直人(57)と、「私はお会いしたことがないんですよ。曲は有名だし、私は友達とカラオケで歌いますよね」と残念がる北乃きい(22)。マレーシアを舞台に、自分の信じた道へと突っ走ってしまう頑固な父と、娘の葛藤をさわやかに演じきった。

 中年商社マン、片倉健(竹中)はクアラルンプール行きの飛行機に乗ったが、機体は嵐に巻き込まれ、片倉は見知らぬ空港で降ろされてしまう。ロビーでは財布を盗まれ、途方に暮れていたとき、ひょんなことから謎の中国人ドライバー、メリー(フー・ビン)と友達に。彼のド派手なトラックに乗り込み、クアラルンプールを目指す。片倉の狙いは、現地の村で教師をしている一人娘、緑(北乃)の結婚式を阻止することだった。

 女優考えるきっかけに

 「雨あがりの夜空に」がライブ版、スタジオレコーディング版、出演者の演奏版と多様な形で披露される本作は、清志郎ワールドだ。出演の打診を快諾した竹中は「清志郎さんの映画やるのか。なんか照れくさいなあ」というのが正直な気持ちだった。忌野とは、音楽、映画、舞台の世界をエンジン全開で一緒にぶっ飛ばしてきた、いわば“扱いの荒い”ドライバーと愛車のような関係だった。「忌野さんは僕の映画音楽を担当してくれたり、出演もしてくれた。舞台にも出てもらいましたよ」

 全編マレーシアでの撮影については、「暑さとの戦いでした。監督はどんなシーンでも絶対に何度も、何度も、何度もリハーサルをやる方なんですよ。私も竹中さんもすごいスタミナが要求される役どころなので、大変でした」と振り返り、苦笑いを浮かべるのは北乃。作中では、ずっと通気性の悪いウエディングドレスを着ている役だったばかりか、ドレスを着たままバスケットボールやアクションシーンもこなさなければならなかったのだ。

 そんな監督が次々と飛ばす要求に文句一つ言わず、粛々と得意の「笑いながら怒る人」を披露して見せた竹中に、北乃は大ファンの一人として尊敬し直したそうだ。「一人前の女優になるために何が必要なのか。竹中さんは改めて考えるきっかけを与えてくれたんです」。11月9日から全国公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:荻窪佳(けい)/SANKEI EXPRESS

 ■たけなか・なおと 1956年3月20日、神奈川県生まれ。77年に芸能界デビュー。91年の初監督・主演映画「無能の人」がベネチア国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。主な映画出演作は、96年「Shall we ダンス?」、2010年「のだめカンタービレ 最終楽章」など。テレビでは、NHK大河ドラマ「秀吉」で主演。

 ■きたの・きい 1991年3月15日、神奈川県生まれ。2005年、「ミスマガジン2005」グランプリを最年少受賞。07年の主演映画「幸福な食卓」で日本アカデミー賞新人賞に輝く。主な映画出演作は、08年「ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌」「ラブファイト」、09年「ハルフウェイ」、13年「爆心 長崎の空」「上京ものがたり」など。テレビでは、主演ドラマ「ライフ」など。

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