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彼の目に力があるから起用した 映画「危険なプロット」 フランソワ・オゾン監督、エルンスト・ウンハウワーさんインタビュー
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フランスの名優ファブリス・ルキーニ(61)と期待の新人エルンスト・ウンハウワー(24)が、フランソワ・オゾン監督(45)の新作「危険なプロット」で教師と生徒にふんし、スリリングな心理戦を展開した。コメディータッチのサスペンスドラマである本作は、欧米では「In the House」(英題)や「Dans la maison」(原題)のタイトルで知られ、本国フランスでは公開されるや、わずか1カ月で120万人を超える観客動員を記録する人気ぶりだ。
オゾン監督はスペインの戯曲をベースに、舞台をフランスの高校に移して映画化した。かつては作家を志すも現在は国語教師の職に就いているジェルマン(ルキーニ)は、16歳の教え子、クロード(ウンハウワー)が友達の家族について書いた作文に文才を見いだし、クロードに小説の書き方を手ほどきする。やがて才能を開花させたクロードだったが、友達の家族について書いた小説の内容は、次第にエスカレートしていき…。
ウンハウワーは、どこか暗い影がさす強いまなざしが印象的だ。オゾン監督が「目に力があるから」と起用の意図を説明するように、他人の家庭をのぞき見して皮肉たっぷりの小説に仕立て上げていくという物語を演出する上でも、目力は大事な要素だったという。ウンハウワーも「作品はクロードが頭の中で小説の展開を次々と考えていく物語だから、クロードがぼうっとしているような表情をしてはだめ。僕はいつも眼光鋭くするよう心がけましたね」と言葉を継いだ。
撮影時にウンハウワーが21歳だったということにも驚かされる。ウンハウワー自身はこう推し量る。「僕はとても若くみえるでしょ? でもオゾン監督にすれば、クロードの早熟な部分が欲しかったのでしょう。少し年齢が高めの役者が演じた方がクロードにぴったりだと考えたのではないでしょうか」
一方、オゾン監督は、スクリーンに映し出されるルキーニとウンハウワーの姿が不自然に見えていないかという点を強く意識していた。フランスではルキーニに教師のイメージを抱く映画ファンが多いことを指摘したうえで、「役者経験が浅いエルンストとのやり取りを見ていると、僕には、彼らの間には本当に教師と生徒のような関係性があるのではないかと思えてきました」と説明した。
ウンハウワーが俳優になりたいと考えたのは7歳のころで、小学校の学芸会で披露した演劇で役をもらったことがきっかけだった。「なってみたい職業はこれだと思いましたね。だって、自分が他人となり、自分を忘れられるんですよ。快感ですね」。こう語ると、面接で自分を主人公に選んでくれたオゾン監督に敬礼ポーズをしておどけてみせた。公開中。(高橋天地(たかくに)、写真も/SANKEI EXPRESS)
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