ブラジルに次ぐ南米第2位の市場と目されるアルゼンチンに日本企業が熱い視線を注いでいる。2001年の事実上の債務不履行(デフォルト)宣言以降、長らく新規投資の対象外だったが、昨年12月に、12年間続いた反米左派政権が中道右派のマクリ政権に交代して投資環境は一変。欧米や中国も商機拡大を虎視眈々(たんたん)と狙っている。果たして日本企業の勝算はいかに-。
今年4月、アルゼンチンはドル建て国債の発行で15年ぶりに国際金融市場に復帰し、「デフォルト国家」の汚名に終止符を打った。
安倍晋三首相は11月下旬、日本の現職首相としては57年ぶりにアルゼンチンを公式訪問。同国のマクリ大統領と会談し、経済協力などを通じた2国間関係の強化を確認した。
日本貿易保険(NEXI)はこれに先立ち、3月に貿易保険の引き受け条件を緩和した。日本貿易振興機構(ジェトロ)は来年早々にもブエノスアイレスの事務所に約6年半ぶりに日本人駐在員の派遣を再開し、日本企業の進出を支援する。
マクリ政権は外資導入や規制緩和策を矢継ぎ早に打ち出しており、ジェトロは「長らく企業からは債務返済の相談ばかりだったが、ビジネス再開や進出相談が増え潮目が変わった」と説明する。
インフラ投資本格化
丸紅は信号機などの製造メーカー、日本信号と組み、アルゼンチン国鉄から首都ブエノスアイレスの近郊線全8路線向けに衝突防止の自動列車停止装置(ATS)などを60億円強で受注した。