ソウルで27日に開かれた日韓財務対話で、韓国側は通貨交換協定再開を提案した。同国国内には日本に対して強硬姿勢を求める一部世論はあるものの、経済界を中心に将来の不安払拭に向けて協定の再開を求める声は根強く、韓国政府としても体面より“実”を優先したとみられる。
平成13年に始まった日韓の通貨交換協定は、昨年2月に終了した。韓国企画財政省や中央銀行に当たる韓国銀行は当時、「経済指標が良好であり、延長がなくても特に悪影響はない」との見解を示していた。
韓国の外貨準備高も比較的十分で、韓国メディアの間にも「協定延長不要論」が目立っていた。何より、最大の原因は慰安婦問題での日韓関係の悪化という「政治的な問題」(韓国財界)にあったとされる。
ただ、昨年10月に行われた経団連と韓国の全国経済人連合会(全経連)の定期会合で全経連側は協定再開を求めた。米国の利上げなど「金融の不透明化」が理由で、今年に入っても、韓国経済は主要輸出先の中国の成長鈍化や英国の欧州連合(EU)離脱決定で、低迷から抜け出せずにいる。
ひとたび金融市場が混乱すれば打撃を受ける懸念があるうえ、経済界には、協定再開が経済分野での対日関係改善の好機になるとの見方もあった。