【データで読む】新興国通貨、英離脱ショックから持ち直し

2016.8.8 05:00

英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票で、離脱派の勝利を喜ぶ英国独立党のナイジェル・ファラージ党首(中央)=6月24日、ロンドン(AP)
英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票で、離脱派の勝利を喜ぶ英国独立党のナイジェル・ファラージ党首(中央)=6月24日、ロンドン(AP)【拡大】

 6月23日に実施された英国の国民投票は欧州連合(EU)離脱派勝利という衝撃的な結果となり、世界の金融市場にリスク回避の動きが広がった。為替市場では、円とドルが買われる一方、当事者のポンド、ユーロだけでなく新興国通貨が売られた。ただし、足元では市場の不安は一服している。減速基調にある中国の人民元は下落基調が続くほか、ロシアのルーブルが原油価格の下落を受けて再び下落しているが、ほかの多くの新興国通貨は英国民投票前の水準を回復し、特にブラジルでは、経済が最悪期を脱出するとの見方もあって大きく持ち直している。

 この背後では、新興国からの資金フローも、年初の世界的な金融市場の混乱を経て、流出に歯止めがかかったもようである。2008年9月のリーマン・ショック後には先進国が大規模な金融緩和を行い、世界に緩和マネーが広がったが、13年頃から新興国、資源国経済が減速し、米国が出口戦略に動いたことで、新興国から米国へ断続的に資金が還流する動きがみられた。しかし、今年に入ると、米国の利上げペースが一層緩やかになるとの見方が広がり、市場の混乱が収束するタイミングで、新興国に資金が再び流入してきている。

 通貨が安定する中で、台湾、マレーシアが利下げを行うなど、新興国は金融緩和による内需てこ入れの余地が生まれており、一息付く形となった。しかし、英国のEU離脱問題の先行きは不確定要素が多く、震源の所在を問わず、リスク回避の動きは新興国通貨に売り圧力を加える。また、経常収支や対外債務など新興国自身の問題が脚光を浴びれば、急激な通貨安、資金流出が生じる可能性もあり、今後も新興国が翻弄される展開には留意が必要となる。(編集協力=日本政策投資銀行)

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