岸田文雄外相は12日夕、韓国の尹炳世外相と電話で会談し、慰安婦問題に関する昨年12月の日韓合意に基づいて元慰安婦支援のため韓国で発足した「和解・癒やし財団」の事業内容について大筋で合意した。岸田氏は、韓国側に速やかに10億円を拠出するため必要な手続きを進める考えを伝えた。今月中にも拠出される見通しで、ソウルの日本大使館前の慰安婦像撤去を前提としなかった。
岸田氏は会談後、外務省で記者団に対し「韓国政府が今後も日韓合意を誠実に実施していくと改めてしっかり確認できた」と強調。10億円の使途については「財団が元慰安婦や家族のニーズを調査する。具体的には医療や介護といった使途を想定している」と説明し、事業の詳細は事務レベルで詰めていくことを明らかにした。
財団が元慰安婦や遺族に「癒やし金」として現金支給することを検討していることに対し、岸田氏は昭和40年の日韓請求権協定を踏まえ「慰安婦問題に関する請求権の問題は法的に解決済みだ」と強調した。
また、日韓合意に含まれている慰安婦像の撤去に関しては「韓国政府としても日韓合意を誠実に実施していくと確信している。韓国側が適切に対応すると考えている」と述べ、今後も撤去を求める考えを示した。岸田氏は会談で、韓国最大野党「共に民主党」の文在寅前代表が7月に、韓国が不法占拠を続ける竹島(島根県隠岐の島町)に上陸したことも言及した。