【消費の壁】(下)
大手総合商社に勤務する男性(29)は週2回、テニススクールに通う。競技志向の上級者を対象にした「トーナメントクラス」が始まるのは午後11時半から。レッスン終了は午前1時半だ。
モノに執着せず
既に電車も動いていない時間だが、自宅の近所で時間単位でコンパクトカーを借りる「カーシェアリング」が彼の足だ。独身で1000万円近い年収がある。だが「駐車場の月極料金などを考えると、カーシェアで十分だ」と、マイカーに興味を示さない。
モノの所有にこだわらない。こうした若者の「モノ離れ」による消費の停滞に、経済界は懸念を強める。レンタルや共有で済むものは購入せずに済ませる「シェアリングエコノミー」は個人消費の見かけ上の数字を押し下げるためだ。
自動車などはこれまで購入が普通で、統計上も個人消費に分類された。だがカーシェアの場合、個人消費に計上されるのはわずかな利用料金のみだ。