滞在型観光を模索
各自治体の誘致合戦も活発化している。15年の訪日客の延べ宿泊数が前年の2倍以上の176万人に増えた静岡県。静岡空港に新規就航する国際線の着陸料を1年間無料とする条例を12年に制定するなど、同空港経由の誘客に力を入れる。09年の開港当初は週4便だった中国路線は、15年には最大で週42便となった。
奈良県は世界文化遺産の法隆寺など観光資源は豊富だが、宿泊施設が少なく訪日客が近隣の京都や大阪に流出する悩みを抱える。旅行消費額が日帰り客の8倍と推計される宿泊客を増やそうと、滞在型観光への転換を模索。今年3月には県有地に米系高級ホテル「JWマリオットホテル奈良」を誘致したと発表した。
同県の観光産業活性化の投資ファンドを運用するリサ・パートナーズ(東京)は「他の地域と一体となった周遊プランの売り込みや、大型ホテルから町家まで幅広いニーズに対応した宿泊施設の多様化が求められている」と指摘している。