以前にも書いたが、問題となったACLの決勝第2戦では、広州恒大はユニホームのスポンサー名を勝手に変更した以外にも、試合前に対戦相手のアルアハリ(アラブ首長国連邦=UAE)が非公開とした練習を隠し撮りした▽主催者のアジア・サッカー連盟(AFC)の許可を得ずに試合後の優勝セレモニーを開催した-などの“傍若無人”とも言える振る舞いを数々行い、AFCからホーム試合1試合の無観客での開催と、罰金16万ドル(約1700万円)の処分を受けていた。その経緯もあり、さすがに裁判所も広州恒大をむやみに擁護できなかったのだろうか。そもそも、日産側の抗議が明らかになった訴訟前の段階で、新華社通信が異例の強い調子で「(ACLの)優勝が色あせた」「利を重んじ、正義を軽んじる行為」などと広州恒大側を批判する評論を出しており、そういった“お上の意向”が汲み取られたのかもしれない。
ともあれ、習近平国家主席の大号令の下、国策として「サッカー大国」を目指している中国。金満クラブによる有名選手の“爆買い”が話題となっているが、さらなる国内リーグの発展には、海外スポンサー企業の利益保護は不可欠と判断したのではないだろうか。仮に今回の訴訟で、日産側の損害賠償請求が退けられていれば、国際的な常識が通用しない「我田引水国家」として少なくともサッカー界でのイメージダウンは免れなかったように思う。