2015年度の貿易収支の赤字額は前年度から約9割の改善となったが、熊本、大分両県で相次ぐ地震に伴う生産活動の混乱が輸出に影響を及ぼす可能性もあり、収支が改善するかは予断を許さない状況にある。
3月の貿易収支の黒字額は改善傾向を示したが、輸出金額は前年同月比6.8%減と、6カ月連続のマイナスとなり、市場予想(7.0%減少)を下回った。輸出の実勢を示す数量指数も1.0%減と2カ月ぶりのマイナスになっており、SMBC日興証券の丸山義正エコノミストは「新興国向け輸出の低調により、日本の輸出の勢いは明らかに鈍っている」と分析する。
貿易収支改善の鍵となる輸出をめぐる環境は、先行きますます不透明さを増している。新興国景気のさらなる減速懸念に加え、米国でのエネルギー関連業種の低迷、為替相場の円高ドル安など今後の不安材料を数え上げればきりがない。
しかも、熊本、大分両県で頻発する地震により、自動車や半導体の国内工場が停止するなど国内企業の生産活動にも影響が及び始めている。
財務省の担当者は「サプライチェーンの寸断が長引けば輸出に響く可能性がある」と話している。