一方、今回の短観には、日銀が2月16日に始めたマイナス金利政策の効果も一部で出始めている。金融機関の貸出態度判断DI(「緩い」と答えた企業の割合から「厳しい」と答えた割合を引いた値)は、中小企業でプラス20とバブル期の元年11月調査(プラス26)以来の高水準だった。借入金利も全規模全産業で大幅な低下を表す数値が出ており、企業を取り巻く金融環境は一段と緩和してきた。
28年度の設備投資計画は前年度から下ぶれしたが、全国銀行協会の国部毅会長(三井住友銀行頭取)は「資金調達に前向きな顧客企業も多い」と今後の投資の伸びに期待する。銀行や保険の景況感は悪化したものの、住宅ローン金利の低下などで住宅や不動産関連は改善した。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「マイナス金利政策のプラス効果が早々と見えてきたので、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は自信を深めて、4月の金融政策決定会合で追加緩和に打って出る可能性がある」と予測する。(米沢文)