■公共事業を呼び水に
□中央大・長谷川聰哲教授
原油価格の下落や中国をはじめとする新興国経済の減速により、日本経済も輸出を中心に打撃を受けた。
2016年に入ると世界的にリスクを回避するムードが広がり、安全とされる円を買う動きが強まった。円高が進めば、さらなる輸出減などで企業業績は悪化し、消費減退などにもつながる。
安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」は、金融政策で経済を持ち上げながら財政再建も進めてきた。
しかし今や経済は冷え込んできている。金融政策だけでは手の打ちようがない。
日本経済の需要不足が顕在化する中、今後は公共事業を中心とした財政政策を打ち出す必要がある。
これが呼び水となって民間の設備投資や消費支出、雇用が増えることが期待される。
さらに、米国やドイツなどと、為替などが急激に変動しないよう、政策協調することも必要になってくるだろう。