政治問題に発展か
この“爆買い”を支えてきた中国経済の好調ぶりも今年秋以降、かげりが見え始めてきた。中国政府の発表する経済指標も、こうした悪化の傾向を軒並み裏付けている。
最高指導者の習近平国家主席も、最近の中国経済の状態を「新常態(ニューノーマル)」と表現。もはや急激な右肩上がりの成長は期待できないことを暗に認めている。
皮肉にも、その経済減速に追い討ちをかけているのが、中国人の海外での旺盛な消費行動だ。
藤井氏の試算によると、外国人旅行者の中国内での消費金額を14年と同額と考えて差し引いた場合、中国人の15年の海外消費金額は1371億ドル。これは国内総生産(GDP)の実に1・7%分の需要が海外に流出している計算となり、藤井氏は「景気の下押しに作用している」と指摘する。
こうした海外消費の景気押し下げ要因について、藤井氏は「このところの中国経済の成長鈍化の下、政府の経済政策上の検討課題となる可能性もある」と推測する。