さらに圏央道の沿線市町村では、都心を通らずに東名から中央、関越、東北の各自動車道を利用できる交通の利便性が着目され、物流拠点や工場などの立地も進んでいる。家具大手のニトリでは2年半後をめどに埼玉・幸手(さって)に大規模な物流センターを開設する計画だ。
工場立地統計によると、圏央道沿線市町村の工場立地面積はこの20年で約6倍に増えた。これに伴って製造品出荷額も伸び、雇用も拡大している。産業空洞化が懸念される中で、高速道路網が製造業など国内産業の活性化を促すことも裏付けられた。
経済効果は観光にも及んでいる。静岡県は埼玉県や群馬県から県内を訪れる宿泊バスツアーに対して助成をするなど、新たな観光客の取り込みに動き始めた。
栃木県や神奈川県は、双方からの観光客向けにキャンペーンを始めた。栃木県から成田空港に向かう高速バスは圏央道経由にルート変更し、時間の短縮を図っており、成田空港は訪日客だけでなく、今後は国内旅行の利用増を見込んでいる。