新成長戦略で打ち出された外国人労働者の受け入れ拡大は急場しのぎでささやかな対策のように見えるが、響きのよい「高度人材」を表看板に掲げ、「技能研修」という名の低コスト労働者の拡大は看板の裏に書いてある…。企業が高度な知験を持つ正社員の人材を増やそうとしないかぎり、日本再生につながるはずはない。
政府は6月末、新成長戦略で外国人の「働き手」の受け入れ拡大を打ち出した。帰国を前提とし、永住につながる「移民」導入策ではないという建前だが、外国人労働者(OECD〈経済協力開発機構〉など国際機関では「移民」を「外国生まれの移住者」とみなし、外国生まれの労働者をその範はん疇ちゅうに入れている)を移民として捉えるのは、いわば国際常識だ。政府はそろりと移民受け入れに舵を切ったというのが真相だ。大義名分は少子高齢化で停滞する日本経済を活性化させるというものだが、本当に移民で経済は成長するのか。
新成長戦略は法人税率引き下げで外国企業の対日直接投資を促して高度な技能・技術を持った外国人材を受け入れる。外国人の家事労働者を受け入れ、高度な外国人が日本に定住しやすくする。これまで日本は単純労働者を受け入れなかったが家事労働について単純労働者を流入させる。