アベノミクスの新成長戦略が発表された。目玉となるのは法人税減税。しかし、実現には多くの壁が立ちはだかっている。
法人税減税について現時点でわかっているのは、2015年度から開始し、数年間で実効税率を20%台にまで引き下げるということ。
しかし、新成長戦略では、「年末に向けて議論を進め、具体案を得る」としており、詳しい内容は明らかになっていない。ただ、安倍首相はテレビ番組の中で、「まずはドイツを目指す」と言っている。
現在のドイツの法人実効税率は29・59%で、東京都の35・64%から見れば、約6%の引き下げとなる。法人実効税率1%の税収は約4700億円に相当するため、約6%の法人減税に対しては、約2兆8000億円の代替財源が必要だ。
法人実効税率20%台は数年間で実現するとしているので、一度に3兆円近い代替財源が必要になるわけではないが、いずれにしても財源の確保は厳しい。
アベノミクスの景気回復効果で、2013年度の法人税収は当初の想定よりも大幅な増額が予想されている。これを使えば、2015年度の法人税減税分は手当てできるかもしれない。しかし、そこに立ちはだかるのが“財政健全化”だ。