【女性“活用”の現実】(上)
低い昇進希望 社会変革必要の時機
安倍政権は経済政策の切り札に「女性活用」を掲げ、少子高齢化で減少する日本の労働力確保と経済活性化を目指す。これに呼応し、企業も多くの育児支援制度を打ち出してきた。だが、女性の間には「管理職にはなりたくない」「専業主婦が希望」との声がなお根強い。女性が働き続ける上で何が足かせなのか。徹底取材した。
“バリキャリ”は無理
IT企業に勤める都内在住の内山梓さん(36)=仮名=は、3歳の子供を保育所に預けて働いている。育児休業から復帰してしばらくは内勤だったが、現在は営業担当として外まわりもするし、男性の同僚と変わらない結果も求められる。
ただ、内山さんは「この職場では管理職になりたくない」と言う。今は子育て中で免除されているが、管理職になれば毎日の残業や休日出勤は当たり前だ。
情報通信会社に務める都内の女性(31)は2人目の育児休業中。会社は女性登用に前向きだが「子育てと管理職の両立は不可能に近い。子育てを犠牲にしたくないのでその気はない」という。