子育てとの両立困難
共働き世帯が増える中、会社内で年齢を重ねていく女性たちの戦力化は経営課題だ。リクルートはグループ内の28歳の女性社員を対象にした交流会「キャリアカフェ28」を実施。これから出産や昇進など節目を迎える社員に、子育てしながら活躍する先輩との交流を通じてキャリア形成を意識させる。
日立製作所は出産を控える社員と上司を対象に、産休前復職支援セミナーを行う。産休・育休を経ても働く意欲を保てる職場づくりを工夫する。理系の多い帝人や従業員の8割が女性の資生堂も女性を対象にした幹部社員の育成研修に力を入れる。
ただ、子育てしながらの昇進は生やさしいものではない。2歳の子供がいる大手通信会社の女性(36)は「育児が一段落した頃にはポストに空きはないだろう」とみる。育児を理由に残業や出張を伴う仕事を敬遠する自分が、男性の同僚を差し置いて昇進できるとは思えない。
日本企業が国際競争を勝ち抜くためには、多様な人材による組織の活性化が必須で、性別にこだわってはいられない。しかし、国や企業の女性活用機運が盛り上がるほどに、冷めていく女性がいる事実がある。この溝を埋めるため、会社や社会が根本的に変わらなけれならない時機がきている。