パキスタンの繊維業界が欧州連合(EU)への輸出増加に期待を寄せている。増加の鍵となるのはEUの一般特恵関税(GSP)を労働・環境・人権分野の条約を順守する国に適用する「GSPプラス」と呼ばれる制度の対象国指定を得られるかどうかだ。現地英字紙エクスプレス・トリビューンが報じた。
今年7~9月期のパキスタンの繊維関連輸出額は前年同期比9%増の約36億ドル(約3655億円)だった。業界団体の全パキスタン紡績工業協会幹部は「前期比では4%増にとどまった。輸出増のためにはEUからGSPプラスとしての承認を得ることが重要だ」と述べ、承認が実現すれば年間10億ドルの輸出増が見込めるとの見解を示した。
176カ国・地域を対象とするEUの現行のGSP制度は今年末で失効する予定。今後、EUは対象を90カ国・地域程度に絞り込んでGSPプラスを適用する方針を固めている。対象国となるには人権や環境などに関する27の国際条約を批准するといった条件があり、パキスタン政府も死刑の執行停止を延長するなどの措置を講じている。