パキスタン政府は北部ダスの水力発電所計画の実施に向け、世界銀行に融資申請を行ったもようだ。同計画はダム建設を含めた総工費75億ドル(約7506億円)の大型計画で、8年後の完工を目指す。稼働後の発電能力は430万キロワットとなる見込みだ。現地英字紙エクスプレス・トリビューンなどが報じた。
同国財務省によると、申請を行ったのは用地取得にともなって発生する補償、移転費用やそのほかの着工前にかかる準備費用など7億ドル。世銀のパキスタン事務所も承認に向けた手続きを開始したことを認めている。
パキスタン政府はここ数年、ダスと同じインダス川水系で上流に位置するディアメル・バシャの水力発電所計画(発電能力450万キロワット)を優先し、世銀など国際機関に融資を呼びかけてきたが、北部地域の帰属問題で対立するインドの許可が得られないことなどを理由に拒否されてきた。
このため、慢性的な電力不足に悩むパキスタン政府は方針を転換。ディアメル・バシャよりも74キロメートル下流に位置し、地理的に工事が比較的容易で総工費を抑えられるダスのプロジェクトを優先させることを決定したもようだ。今後はダスのプロジェクトを進行させつつ、同時にディアメル・バシャへの投資も呼びかけていくとしている。(ニューデリー支局)