≪伝統に培われた技を新しい発想に生かすと「ものづくり」の可能性が広がる≫
かつて備後国と呼ばれ、重要な港として栄えた広島県東部。その地で造船業を基盤に、地域の産業復興、継承、発展を目指す人たちがいます。
豊かな自然環境から得られる瀬戸内海の海の幸・山の幸、デニムや絣(かすり)、家具などの産業、文化、多岐に渡る地域のものづくりを生かしたおもてなしを、リゾートホテルという空間で提供し、居ながらに体感してもらいたい。今回はそんな視点から地域の活性に取り組む、磯崎博さんを広島県尾道市に訪ねました。
瀬戸内海の中間点に位置し、風光明媚(めいび)、穏やかな気候に恵まれた広島、尾道。「坂の街」「文学の街」「映画の街」として全国的に有名であり、今も多くの人々が訪れる観光地です。古来より重要な港として栄えたこの地は、明治時代以降いくつもの造船所ができ、造船業が盛んな地域としても知られています。1917年に創業した常石造船もその一つ。高い技術力を持つ日本の造船業は世界の注目を集めていました。欧米や中東などからの要人を迎えることも多く、常石造船は1973年、瀬戸内海を一望する高台に、長期滞在の顧客を迎えるため迎賓館を設立。2007年、それまで一般客は入ることのできなかったこの特別な場所を全面リニューアル、地の利を生かし、マリーナも併設する「ホテルベラビスタ」として新しいスタートを切りました。