挺対協反発で手のひら返し
しかし、今回の合意に対して日本政府内では冷めた視線が少なくない。慰安婦問題は日本にとって「終わった問題」(政府筋)だが、国際問題化し続けているのは、韓国政府と民間団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)」が蒸し返し続けてきたからだ。挺対協は韓国内で政府の対日政策に「拒否権を持つ」(元韓国外務省幹部)という有力圧力団体で、朴政権が押さえ込むことは難しい。韓国政府は慰安婦募集の強制性を認めた「河野洋平官房長官談話」や、元慰安婦に償い金を支給したアジア女性基金を当初は評価したが、挺対協が反発すると手のひらを返してきた。
一方、韓国政府が設立する財団への約10億円の拠出は、韓国側が「国家賠償」と主張できる「玉虫色」の決着で、金額の大きさも「波紋を呼ぶ」(自民党議員)とみられる。