しかし、2人の尊大な中国人が米英で10月20日に発した言い掛かりは小説より格段にグロテスクだった。習近平・国家主席(62)は英国議会と公式晩餐会の演説・あいさつで、場違いにも第二次世界大戦(1939~45年)での「日本の残虐性」を執拗に繰り返した。国連における中国軍縮大使の発言はさらに筋書が凝っていた。使用済み核燃料再処理工場計画などを持ち出し、日本保有の核物質は核弾頭1000発以上に相当。ごく短期間で核武装国家に成る…とか。わが国がそれほど巧妙な核戦略を秘めていれば、中国に恫喝されまくる現下の惨状は引き出さなかった、と反論しておく。
世界覇権への100年戦略
所要時間の多くを費やした中国大使の対日批判は、米国の中国軍事戦略研究の第一人者マイケル・ピルズベリー氏(70)の新著《100年マラソン=米国と交代して地球超大国にならんとする中国の秘密戦略》の正確性を証明した。著書の主旨はこうだ。
《中国は世界覇権に向けた野望の中心手段として「日本の右派は軍国主義復活を真剣に意図する危険な存在だ。右派を無力にしなければならない」と、日本を悪魔に仕立てる反日宣伝工作をアジアと日本で展開。米国と主要同盟国・日本が強力な経済・安全保障分野で協力し合う現状を破壊せんともくろむ》