習主席は2012年11月に共産党トップの総書記に就任して以来、「ハエもトラもたたく」(大物も小物も容赦しない)として、汚職取り締まりを強化。これまでに周永康・元政治局常務委員(72)ら多数の共産党幹部が失脚している。反汚職運動は、習氏による政治的粛清との批判もあるが、庶民は喝采しており、習氏の大衆レベルでの人気の高さは毛沢東(1893~1976年)に迫る状況になっている。
「グリーンが汚職の温床」
今回、ゴルフが禁止令の対象になったのは、「グリーン上での接待ゴルフが汚職や不正取引を生む温床となっている」というのが党の言い分だが、一方でビジネスマンにとっては、ゴルフ場は大切な情報交換の場所である。にもかかわらず、全党員を対象にした禁止令が出た背景には、習氏の個人的嗜好(しこう)も反映されているとみられる。
文化大革命期に下放(農村での強制労働)された経験を持つ習氏は、ゴルフを「富裕層のスポーツ」として忌避していると伝えられる。13年6月に訪米し、カリフォルニア州でバラク・オバマ大統領(54)と首脳会談に臨んだ際には、米側は無類のゴルフ好きで知られるオバマ氏の意向をくんで、ゴルフ場での会談と両首脳一緒のプレーもセットしようとしたが、習氏がプレーだけは頑として拒絶し、米側を当惑させたとされる。