いずれも奇をてらった料理ではない。定番の料理を基本に忠実に作るという。浦田さんは「特に気をつけているのは塩加減と火の入れ方ですね。そこを間違えると、どんなにいい食材を使っても台無しになります」と話す。料理人の腕の確かさ、センスがうかがえるところだ。
また、全ての料理に共通しているのは素材特有の臭みがないことだ。「特別なことはしていません。たとえば、レバーであれば血抜きをしっかりするなど、手間を惜しまないことでしょうか」。それぞれの素材に適した処理を丁寧に施すことが肝要なようだ。
感謝の言葉独り占め
浦田さんが料理の世界に入るきっかけとなったのは、大学卒業後、長野県のペンションでアルバイトをしていたときに、客から「ありがとう。おいしかった」と声をかけてもらったことだという。「その言葉は料理を運んだ私ではなく、料理人が受けるべきだと複雑な気持ちになった」と話す。料理人という仕事に魅力を感じ、専門学校で学ぶことに。フレンチレストランで修業を積んだ後、2012年11月に店をオープン。客の舌を魅了し続けている。