民主党は安倍政権の集団的自衛権の憲法解釈見直しを批判しているが、行使容認の必要性は突然出てきたのではなく、安全保障政策の観点から長年、議論されてきたものだ。そして、この憲法解釈を変更するには、相当の議論と重みがあった。岡田氏はじめ民主党幹部は国民の前で安易に「徴兵制復活」を連呼しているが、憲法解釈を見直す意味や重みをどう考えているのだろうか。憲法解釈を変更するハードルを低く捉えているのではないかとの疑念すら抱いてしまう。
民主党政権時代にも北朝鮮は長距離弾道ミサイルを発射した。その際、ミサイルの一部が日本領域に落下した場合に撃ち落とせるよう海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載したイージス艦を東シナ海などに展開し、沖縄県などに地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を配備した。
弾道ミサイルの迎撃手続きを定める改正自衛隊法は2005年7月に成立した。この際、野党・民主党は反対している。また、現在も継続するアフリカ東部ソマリア沖アデン湾における海上自衛隊による海賊対処活動の法的根拠になっている海賊対処法にも反対していた。
ところが、自身が政権に就くや、野党時代に反対した法律に基づいて政権を運営したのである。まさか、徴兵制導入の不安をあおっておきながら、再び政権を握ったら自分たちの手で思いのままにできる、とは考えていないと思うが…。(峯匡孝/SANKEI EXPRESS)